ごきげんよう、バニラ
桜、ヒラヒラ。
ピンクがくるくると舞って、赤い建造物を飾りつける。
すげえ綺麗なこの景色は、アワユキの神聖なる場所らしい。うん、納得。
「シンく〜ん、こっち見ようね〜」
獄門洞。
華麗なる美形剣士(予定)こと俺シンは、アドリビトムの仕事でここの最奥地まで来ていた。
仕事内容?そんなの知らない。理解できないしたくない。だってバカとメガネがこっち見てにやにやしてるなんて、現実とみなされないと信じてるから。
「これは現実です。しっかりなさいディセンダー」
「いやだあああ!!」
角度を少し変えたことにより光った眼鏡の反射に目を覚まされ、嫌でも目の前の二人が視界に入った。
バカことゼロスは剣を構え、メガネことジェイドは槍を構えている。
なにこの状況?と思い返すこと僅か数分。俺一人を相手にこの二人は下らない理由で喧嘩を吹っ掛けてきたのだった。
「主役の座を俺さまに譲って世界樹に帰ったらどうだい?」
意味がわからん。
「主役は私にとってどうでもいいですがこのお馬鹿神子様が少々煩いので譲って差し上げられませんか?その後は世界樹に帰るのではなく私の生体実験サンプルとなっ」とりあえず黙ってください。
二人の話をまとめて簡単に言うと『お役御免』。
世界を救って、世界樹に還り、また船に戻ってきて、感動の再会を果たしたはずなのになにこの仕打ち。俺、イラナイ子…?
地面に座り込みめそめそと(嘘)涙を流していると、そんな俺なんてお構い無しといった勢いで二人が武器を振り上げた。
「え!ちょ、少しくらい同情とか――っ」
まさか本当にやるとは思ってもいなかったので、対応が遅れる。咄嗟に短剣を鞘から抜いたものの、二人の武器はもう目前へと迫っていた。
――やば、死ぬ。
そう思い反射的に目をぎゅうっと瞑った瞬間、俺を襲ったのは鋭い衝撃ではなく、鈍い打撃に次いで熱い摩擦…熱?
「〜〜ッいっっだあああ!!!」
思い切り顔を地面に擦りつけ、軽く10メートルは滑っていた。
熱いわ痛いわで涙ボッロボロな顔で、何事かと先ほどまでいた場所に目をやる。そこには、ゼロスとジェイドと、
「……ディセンダーは俺の…」
「げ、ゲーデ…?」
何故か、ゲーデがいた。
「おやおや?貴方は確か、ディセンダーによって世界樹へ還らされた、ゲーデではありませんか」
「うへえ!なんでお前がまた出て来てんだよ!」
「うん!なんでゲーデが!?留守番するって言ってただろ?」
俺はゲーデを連れて世界樹へ還った。そこまでは無理矢理だったかもだけど、それから話し合いでなんとか和解して、俺はまた外に、時々還るからって条件をつけてゲーデは内でお留守番ってことになってたんだけど。
あちこちから口々に言われ不機嫌モードなゲーデに小走りで寄ると、よしよしと頭を撫でてやる。
つか俺の方が慰められたいくらいなんだけどな、主に顔を。
「、ディセンダー…」
ゲーデはまんざらでもないと言った表情で俺を見ると、顔の傷にヒールをかけてくれた。すげ、治癒術使えるんだ。
「ありがとうな」と笑顔で言うと、ちょっとだけ頬を染めてふいと顔を背けてしまった。
その目が映したのは、呆れたような表情でこちらを見ていた二人。
「ディセンダーに危害を加える奴は…俺が屠ってやる…」
そう言うと俺から少し離れ、人間のものになっていた右腕を以前と同じ異形のものに変化させ、応戦準備を整えた。
負をまとうことはなくなったけど、相変わらずすごい気迫。もう二度とゲーデと対峙したくはないな。
ゲーデの登場に萎えていたらしい二人だけど、再度武器を構えると俺に向かってきたとき以上の力でぶつかってきた。
「ついでにお前も倒して人気枠ぶんどってやるよ〜!!」
「ディセンダーとゲーデが研究サンプルとして手に入るとは一石二鳥ですね」
いやああなんて恐ろしい二人!!
本気?これ本気なの?ってくらいの物凄い力がぶつかる。
2対1なんて、と思ったけど…俺が入るとゲーデの足を引っ張るのは目に見えていたので、鼻を啜りながらにじむ戦闘風景をぼけっと眺めていた。
「ディセンダー…勝手に死ぬな、よ…」
モザイクかかった物体を背景に、ゲーデが俺の両手を小さく握った。
「ああ。俺、まだやりたいこといっぱいあるから死ねないよ。
ありがとうな、ゲーデ」
にっこりと満面の笑みで返す。俺が笑うと安心するってゲーデが言ってたから。
俺の言葉に少しだけ微笑むと、ゲーデの身体は薄れ世界樹へ還って行った。
寂しがりで心配性で優しい。
ゲーデは本当はそういう奴なんだ。
「ありがとうな、ゲーデ」
もう一度だけ、世界樹の方向へ向いて言う。
次還ったときには土産話をたくさん聞かせてあげよう。一緒に世界を見て回るってのもいいかもしれない。
でも、とりあえず…
「ゲーデを怒らせることだけは、絶対にしない…」
黒焦げの物体をちらりと見て、心に深く深く刻み込んだ俺なのでした。
fin...
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72000hit alphaさまへ捧ぐ。
『シン、ゲーデ、GVコンビ』ネタでした。
このメンツだとギャグ以外考えられませんよね(笑
GV最終戦のイメージなので、ED後。
サイト内でED後設定はまだありませんが、お遊びでやらせていただきました!
すごく楽しかったですv
あ。シンとゲデは兄弟愛みたいな関係です、一応(笑
そして題名はGVなだけで意味はありません(←
ありがとうございました!
※alphaさまのみお持ち帰り可。
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