シークレットスウィーツ‐ユリカイ


ユーリ「ほら、できたぜ」

カイ「………此れは何と言う物だ?」

ユ「バナナチョコブラウニーだ。ま、チョコレートケーキだな」

カ「ブラウニー…」

ユ「ほら食えよ」

カ「ん。………美味しい、ぞ」

ユ「そうか。よかった」

カ「オレは、若草のよりユーリが作った菓子の方が好きだ」

ユ「?アイツのが上手いじゃねぇか」

カ「上手いかもしれないが、アンタ手製の方が美味く感じる。味覚の問題だろうか」

ユ「お前の舌に合ってんのかもな。
しかし嬉しいこと言ってくれんじゃねぇか。あ、もしかしてオレが作ったからってのが理由かもな」

カ「そうかもしれない。アンタじゃなかったら、多分どれも同じ味に感じるだろうな」

ユ「お。素直になったな」

カ「隠しても意味は無い」

ユ「ごもっともで」

カ「……そうだ。次はオレがユーリに作ろう。見ていたから手順は覚えた」

ユ「お前、出来んのか?」

カ「オレが不器用とでも?」

ユ「いや、器用ってことは十分理解してるわ。
んじゃま、やってみろよ。期待してんぜ」

カ「あぁ。では退出してくれ。見られていると集中出来ない」

ユ「ん、わかった。その辺りでブラブラしてっから、出来たら呼んでくれな」

カ「ん」




***

ユ「(……つっても心配だな。調理場に立ってんの見たことねぇし…。
シンに、バニラビーンズとは何かって聞いてたくらい材料にも疎いみたいだし…。
本当に大丈夫か?

まぁ、信じて待つか)」


***




カ「どうだ」

ユ「おー。美味そうじゃねぇか。
正直心配だったんだよな」

カ「心配は無用だ。食ってみろ」

ユ「あぁ、いただきます。
…………………ん?ん??」

カ「どうした?」

ユ「いや、なんつーか…美味い、とは思うが……舌が、痺れ、る…?」

カ「………」

ユ「ぇ、ちょ、なんか気分悪……っ」

カ「………分量を間違えたか」

ユ「な、なに入れた、んだ…」

カ「毒」

ユ「っ、ど!?」

カ「魔物が持っている一般的な物だ。少量ずつ摂れば耐性が付くだろう」

ユ「は、なに…おま……げほっ」

カ「回ってしまったか。酷いな。はい、キュアボトル」

ユ「ん、ん…………
…っなにやってんだよ!」

カ「大事無いか?熱や寒気、其の他諸々異常は?」

ユ「とりあえずは。つーかオレの質問に答えろ!」

カ「オレは此の方法で毒耐性を付けた。此れから先に役立つと思ってな」

ユ「お前そんなことまでやってたのかよ!……もしかして、今もンな危険な真似やってんじゃねぇだろうな」

カ「やっているぞ。今は麻痺薬を混ぜている。未だ慣れていないので痺れるな」

ユ「それも忍だからって言うのか」

カ「あぁ」

ユ「……お前の生き方に横槍を入れることはしない。でも行き過ぎるなよ。心配してる奴がいるってこと、覚えておいてくれな」

カ「……分かった」

ユ「それと、オレは忍者じゃねぇから耐性も付けなくていい。だからこんな真似はもうしないでくれ。命の危険を感じたわ…」

カ「すまない…」

ユ「理解してくれたんならもういいぜ。
オレはお前を置いて死ぬ気はねぇし、お前に死なれんのも嫌だ。わかるだろ?」

カ「…ん」

ユ「素直で良い子だ。
じゃ、気を取り直してブラウニー作ってみっか?」

カ「出来無い」

ユ「は?」

カ「出来無い」

ユ「ど、どうして?」

カ「オレは薬を調合したり混ぜ込む事は得意だが…純粋なる調理はどうにも上手く出来無いんだ。無意識に薬を入れてしまう」

ユ「それ…致命的じゃねぇか……」

カ「無毒な睡眠薬入りのブラウニーなら…」

ユ「食わねぇからな!」

カ「そうか…」

ユ「なら一緒に作るか?オレの手伝い程度なら平気じゃねぇ?」

カ「一緒に…。
……いい、な。やりたい」

ユ「よし!じゃ、材料を準備するとこから始めるか」

カ「ん」

ユ「はい。こっそり左手に持ってる包みを出しなさい」

カ「っわ。む、無意識だぞ」

ユ「怪しいまでの無意識だな…。先行き不安だぜ…」

カ「しっかりするから。薬を取り出さないよう、意識する」

ユ「つーか薬を全部出しゃいいじゃねぇか…」

カ「其れは、駄目だ…」

ユ「わかったわかった。じゃ、やるぜ」

カ「ん。手伝う」




シン「……また食堂に入れねぇ…」






fin...








‐‐‐‐‐
カイは毒に耐性があります。
そんな設定を出してみました。

そして、リフィル先生な料理センスの持ち主。
決して食べられないことはないが、危険を伴うという…。
厄介ですね。




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