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拝啓、かつての……(企画)








前略。
日射しが暑い日々がやってきましたが、そちらはお変わりないでしょうか。


こちらは日々大忙しです。なんと驚くべきことに、世界中の人々の元にパートナーデジモンが行き渡るようになりました。
わたしの大学の友人からなんかは、真夜中にいきなり「なんかタマゴがパソコンから出てきた!」とか電話がきました。ちなみにわたしはパートナーたちと一緒にぐっすりでした。安眠妨害も甚だしいですよね。まったくもっていい迷惑です。


他の誰よりもデジモンたちと親交が長く、深いのはどうやら1999年の選ばれし子どもたち……つまりはわたしたちらしく、光子郎の作ったホームページを基点に様々な相談事が舞い込んできます。
(そろそろあそこを管理する光子郎のキャパが心配だったりしますが、彼のそばにはテントモンもいるしたぶん大丈夫な気がします……おっと、これでは支離滅裂ですね)
今日という大切な記念日ものんびりできません。明日にはヨーロッパへ発たなければいけないのです。正直なところ、面倒くさくてたまりません。でも向こうの言語を通訳無しで話せるのはわたしだけなので、とりあえず頑張ってみるつもりです。


思えば、あの冒険の夏から11年が過ぎました。


今でもあの冒険は、そしてあなたたちとの出来事は、色鮮やかなまま思い出せます。

たくさん、たくさん苦労しました。
たくさん泣いて、怒って、嘆いて、戦って。正直、辛いことの方が圧倒的に多かったような気がします。いえ、多かったんです。まだまだ未熟な小学生だったわたしたちが味合うには大きすぎるほどの困難だらけでしたから。時には恐怖し、時には強い憎悪すら覚えました。
(特にわたしのパートナーをぶっ殺してくれた某ローブの方。申し訳ないですが一生怒りを送信したいと思います、くれぐれもお忘れなく)


でも、それは当然だったのだと学びました。光のすぐそばには闇があるのだと、他でもないあなた方に学んだのです。

闇に呑まれるのは、身を委ねるのは簡単でした。けれどわたしたちは光を忘れてはいけないのです。太陽と月の関係と同じように、光と闇は忘れてはいけない。闇があるからこそ、わたしたちは『ひかり』の中を歩いていけるのです。

もしかしたら、あなた方をこの『ひかり』に連れ出すことができたのかもしれません。けれどあの時のわたしたちは未だに幼く、無力な存在でした。だから今言います、助けられなくてごめ――





「あ、だめだこれ無し」




――……わたしたちは『ひかり』の中を歩いていけるのです。

そうそう、先日大学の友人……の、弟くんのパートナーを見せてもらいました。ピコデビモンでした。なんだかずいぶんと懐かしいような、不思議な気持ちになりました。

もしかして、あなた方はまた生まれているのでしょうか。それともまだ、生まれていない?生まれる日を待っている?


それならわたしも待ちたいと思います。


あなた方が生まれて来るその日を。わたしたちと一緒に『ひかり』に生きるその日を。

ですので、どうか今度はいきなり襲ってこないで下さいね。今度はちゃんと自己紹介して、戦うのではなくお話しましょう。わたしの大切なパートナーたちとも、どうか遊んであげてください。


いつまでも、いつまでも待っていますからね。







宿







――この大切な夏の日に。
――どこかにいる“友人”たちへ。




「おーい!書き終わったか?」
「あ、ごめん。今行く!」


――今日、この特別な日に。


「なぁに書いてたんだよ、昨日からずっと考えてたよな?」
「ふふ。せっかくの今日だからね。手紙を出したくなったのよ」
「誰にだよ?」
「……内緒」




いつかまた出逢うであろう“彼らへ”、一通の手紙を。








僕らの記憶さまへ

おめでとう8/1メモリアル!

ありがとう子どもたち!
ありがとうデジモンたち!
ありがとう、敵のみんな!

ちなみに一応夢でした。




あきゅろす。
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