誰かに聞いた怖い話
・・・疑問3
.
『誰かが?』
私は問い掛けたのです
『うん…窓から誰かが覗いていたの』
駅近くのファミレスの一角で、私はレモンティーを飲みながら、黙って彼女の話を聞いていたのです
『昨日私がバイトから戻りコーヒーメーカーをセットして、それからシャワーを浴びてたのね…今になって考えると、その時には既におかしな気配を感じてたのよ』
彼女はそう言いました
…でも…彼女の部屋は?
『私…どうしたら良い?』
『お家賃も敷金も払ったばかりだし…直ぐに引っ越しなんて出来ないよ』
『でも…又、覗かれたら…』
『…』
私は彼女の事が分からなくなりました
彼女が心配すべき事は覗かれる事では無く、覗いた者の正体が何なのかと言う事なのです
何故ならそいつは…
『ねぇ…君の部屋って?』
その矛盾に何も気付いていない様子の彼女に、意を決した私は尋ねたのです
私は彼女の部屋を訪れた途端に、彼女の部屋に漂う嫌な空気を感じました
でも、それは彼女の部屋に棲み着いて居ると言うのとは、少し違っている様子でした
幾らその能力が低い私にも、そのくらいの事は分かります
その気配は南の方角から漂っていたのです
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