誰かに聞いた怖い話
・・・秘伝3
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『確か…えい児の料理で、予約制の店だって聞いた覚えが…』
『えい児って何だ?』
『産まれる前の、赤ん坊の事だよ』
私に向かってそう尋ねた走り屋の彼に、旅行好きの彼が、代わって答えてくれたのでした
『もっとも、本当の話なのかどうかは、私にはわからないけど…』
『酷いな、その話は…幾ら飛んでる物は飛行機以外、四足の物は椅子や机以外は食べると云われてるとはいえ…ちょっと信じられねえよ』
『確かにね…でも、別に驚く事じゃあないよ…』
そう言い切った病院長の息子の顔を、その場に居た私達全員が見つめたのです
彼の真意を探る為に…
『皆も知っていると思うけど、世界各地に人喰の風習は沢山あったんだ…』
『その食べる目的も色々とあって…例えば、闘って倒した相手の力を、自分のモノにする為にとか…』
『保険金目的で夫を殺して、その肉を料理して隣人に食べさせた話もあるし…』
『ただ純粋に生き残る為に…食べた場合もある様だね』
『でもね…これから話す話は、そんな目的じゃあ無いんだよ…許されるべき理由じゃ無いんだ…』
彼には珍しく、話し方に熱がこもっていた
『叔父から聞いたんだ』
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