誰かに聞いた怖い話
・・・山越えの道2
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僕は交差点の角にあるコンビニに立ち寄る為に、左にウインカーを出し歩道を行き交う歩行者と自転車に気を付けながら、終日営業のコンビニの駐車場に車を乗り入れたのです
勿論後ろの車も僕の車を見習って、幹線道路脇の目映い光に溢れたその場所にと続いたのでした
『えーと…後はこれも必要ね…』
彼女はそう小さく呟きながら、彼女の側にぴたりと寄り添う彼氏の提げたカゴに、スポーツ飲料のペットボトルを数本入れると、薬の置かれた棚に向かって歩き出したのです
『ねえ、君は駅の近くの大学に通っているんだろ?』
『?』
きびきびとした彼女の立ち居振る舞いをぼんやりと眺めていた僕に、同じ様に彼女の後を付いて回る彼氏の事を眺めていた彼が、不意に声を掛けて来たのでした
『あっ!はい、そうです』
そして僕はその時気付いたのだ、後ろの車を運転していた彼とは、未だ自己紹介すらしていなかった事に…いや、そればかりか彼女の彼氏にさえもである
『今日は本当に済みません…僕の兄さん達の為に…』
『なぁーに、困った時はお互い様さ』
見るからに社会人と分かるピシッとした身なりの彼は、そう言って笑い掛けたのです
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