誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉17
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『そう…火力が強まると共に装置の中の圧力は、外より高くなっているんだよ…それに高温だから、直ぐに扉を開ける事は出来ないんだ…タイマー制御になっているのかは、僕も良くは知らないけどね…何しろ昔の話だし』
旅行好きな彼の言葉を引き継ぎ、病院長の息子は話し続けました
『だからその職員は、その場面の事を…その体験の事を、辞める直前迄、誰にも明かさなかったらしいよ…』
『だけどさ、それって犯罪なんじゃ無いのか?』
『そうだぜ、殺人じゃ無いのかよ』
サーファーの彼と車好きな彼が、自分の考えを述べたのは当然の事でした
しかし彼等は、病院長の息子の次の言葉に、明確な答えを出す事は出来ませんでした
勿論私も、それは同じ事だったのです
『でもね…それを誰が…どうやって証明するんだい?』
『?』
病院長の息子の意外な言葉に、私達は顔を見合わせたのです
『だってさ…その人の最後に立ち会った医者が、その人が確かに死亡したと診断して…丸々一日沢山の人達の見守る中で通夜を行い…役所がその人が確かに死亡したと、火葬場の使用許可を出しているんだよ…しかも、その人が生き返ったかも知れないのを見たのは…』
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