誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉16
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『そしてどう言う具合なのか、一時静かになった筈の火の着いた棺桶が…不意にがたがたと再び暴れだし……』



私は此の話を聞きながら、不謹慎にも顔が綻ぶのを止められませんでした

火の着いた棺桶が暴れ回る…病院長の息子の彼の言葉の表現が、何かしらおかしくて仕方が無かったのです

それでも私は堪えました…声を上げて笑い出す事だけは…

それは当たり前の事なのです

彼の表現がどうであろうと、その場で起こった事は大変な事だったからです



『……と言う事だよ…まるで尻尾に火が着いた猫が、慌ててそこら辺を走り回っているみたいにね』

『その職員は見てしまったんだ…火だるまになった棺桶の蓋がガタンとずれ落ちると同時に、棺桶と同じ様に火だるまになった何かが…火の中で暴れている様を…彼は目撃してしまった…そして彼は、ゆっくりとその覗き窓を閉めたそうだよ』



『どうしてだよ!その時火葬の処理を中止していれば、もしかしたら助かったかも知れ…』

『無理なんだよ!』

自分の意見を述べ様とした車好きな彼の言葉を、旅行好きな彼が遮ったのはその時だった



『実は僕も聞いた事があるんだ…直ぐには停まらないんだよ…装置が…』

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