誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉14
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その場には、荒振る風の金切声が鳴り響いておりました
『でもさ、ちゃんと葬式は行われたんだろ?』
『そう聞いてる』
『だったらさぁ…お通夜も…その間も…ああっ、何て言ったら良いんだよ…』
『要するに君が言いたいのは、1日余りその人が仮死状態だったのに、その事に誰も気付かなかったのか…そう言う事だろう?』
私は言葉に詰まるサーファーの彼に変わって、病院長の息子に尋ねたのです
『うん、この時は通夜の晩にも、翌日の葬儀の時にも気付かなかったんだと思う…こんもりと盛り上げられた土饅頭の中で、彼は息を吹き返したんだよ…きっと…狭苦しく真っ黒な棺桶の中で、彼は息を吹き返したんだ…そうして彼は必死にそこから逃れ様と…』
『成る程…それじゃあ、墓地で火の玉を追い掛けている時に聞いた物音が、その人が閉じ込められた棺桶の蓋を、必死になって引っ掻く音だったのかも知れないね』
『君の身内の人が風邪を引かずに、寝込む事も無かったら…もしかすると…』
そう私は呟きました
『でもさ、その時にはその人…既に棺桶の中で亡くなっていたのかも知れないね…棺桶の中の空気が、それ程保つとも思えないし…』
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