誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉2
.
『そのお祖父さんが小さな頃と言うから、勿論僕達は…いや、僕達の両親すら生まれていない時代の話しさ』

そうして彼は瞼の裏側に昔の情景を思い描こうとしたのか、眼を閉じ黙りこくってしまったのです

そして私達は待ちました

薄暗さの中、焚き火の炎の揺らめきに照らし出された、彼の瞼が再び開くのを…





その当時の慣習としては至極当然の事として、村人の誰かが亡くなっても現代の様に火葬にされる事は、滅多にありませんでした

特別な事情が無い場合、そのまま遺体を棺桶に入れ、土葬にふされるのが常だったのです

その為遺体は、ゆっくりと長い月日を掛けて土に返っていったのです

ところが何か特別な事情により、亡者の眠るその墓を掘り返さなければいけない…そんな場合をありました



そうしてそんな中には、信じられないモノを見せ付けられる場合もあった様です



此の場合もそうでした



友人の祖父が子供の頃に体験したと言う話が、そんな話の一つだったのです





『その日、僕の祖父は近所の同じくらいの年齢の友達と、自分の家の裏山に遊びに行ったそうなんだ』

『季節は丁度、青々と繁る樹々の葉がその色をくすませる頃だった』

[前頁へ][次頁へ]

2/95ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!