誰かに聞いた怖い話
80話…火の玉
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『話を聞いていると…やっぱり…猫だよ』
『でも、何故…まぁ、良いか…どうせ結論なんか出やしないんだから…』
その旅行好きな彼の言葉が、全てを現わしていました
結論など出る筈が無いのです
『でもさぁ…そいつらが食べた物って…何だったんだろうな?』
車好きな彼の質問は、私も興味の有る質問でした
けれども、それが何なのか…私達には想像も出来ませんでした
いや、誰も口には出しませんでしたが…それが何なのか知りたい気持ちと、知るのが怖い気持ちが半々だったと思います
『蜃気楼の見える町かぁ…あそこかな?』
『なぁ、後で皆で行って見るかい?』
私のその半ば冗談で発した言葉への返答は、焚き火の回りに座り込む仲間達から一言もありませんでした
私は此の時、それに何の不自然さも感じ無かったのです
後から考えると、それが一番の不思議な出来事だったのかも知れません
でも…私は気付きませんでした…
『次は僕の番だね』
不意に話し出したのは、病院長の息子の彼でした
『僕は、小さい頃に親類のお祖父さんに聞いた話をするよ』
『その親戚は、中国地方の小さな町に住んで居たんだ』
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