誰かに聞いた怖い話
73話…ビーチの夜
.
『確かにね…人が何を考えてるかなんて…本当に分からないもんなぁ』

旅行好きな彼は、しみじみと呟きました

彼のその言葉に、何処かしら妙な説得力を感じたのは、私一人だけだったのでしょうか?

私達と歳は同じくらいだと言っても、彼には私達には無い経験があるのです

誰でも体験出来る訳では無い…留学と言う大きな経験が…



『今度は俺の順番か…何か皆、同じ様な話になっちまうな』

サーファーの彼はそう前置きを振りながら、中学の時の臨海学校で体験した話を、ぽつりぽつりと語り出したのでした





その日俺達は、俺達が毎日通う中学校の主催した臨海学校に参加して、海辺の旅館に分宿して泊まっていたんだ

他の学校では海では無く、山や高原に行く林間学校が多いのだが、何故か俺達の学校は毎年海なのだった

勿論、俺は海が大好きだったから、単純に喜んでいたんだ



でも、今から考えると…事故の確率の高い海を、何故学校側が選んだのか…何故山では無くて海なのか…それは今になっても分からないんだ

水産業関係者の子息が多い訳でも無い…ただの中学なのに…





『おーい、今日は残念だね』

その声は、突然砂浜から聞こえたんだ

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あきゅろす。
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