誰かに聞いた怖い話
・・・深夜の客7
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彼等タクシー運転手の間には、同じ様な体験をした人達がいたのです

その体験をした運転手達の話を纏めると、その若い女性…これは雰囲気や服装から察するに、多分同じ女性だと思われますが、その彼女を乗せた場所はまちまちなれど、行き先については必ずある場所を告げられていたのです



その場所とは、昨今のマイホームブームにあやかって造成された分譲地で、その画一された分譲地を購入した者は、巷でも曖昧な表現で報じられる中流階級と呼ばれる人達でした

彼等はその当時の右肩上がりのバブル景気に乗って、広がりつつあったベットタウンの土地を投資の対象として買い漁り、その結果草木が茫々と生えた誰も住まない無人の宅地が、都心を中心にして円状に増えて行ったのでした



そして色々な設備が整っていながら、宅地としての用をなさない…此の分譲地の様な場所も多かったのです



その様な場所は、得てしてある種の人間には、とても都合の良い場所でした

何しろ道路はきちんと整備されていて、中まで車で入るのには都合が良く、けれども人の目を余り気にせずに済む場所でしたから…


そうです



全ての原因は、その分譲地の中にあったのでした

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