誰かに聞いた怖い話
・・・疑惑から疑心へ12
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きっと、あの時見掛けた人影も私の見間違いなんかじゃ無く、此のキャンプ場には私達五人の他にも誰かが居る

勿論、私達の他に此のキャンプ場にテントを張って居る、あの親子連れ四人を除いて…



…そしてこの私の事を、驚かそうとしているのに違いない…



…でも、何故?



…単なる悪戯にしては、一寸手が込んでいるし…



…分からない、私には分からない…



私はその時…その事ばかりに気を取られ、あの嫌いな奴の事すら忘れていたのです

私の嫌いな、あの八つの脚を持つ彼奴の事を…



その時でした



カツン…と言う何かがぶつかる小さな音と共に、密室と化した個室の中に何やら蠢く影を落としたモノが居たのです



それは…一匹の大きな蛾でした



私達の暮らす街よりも気温が低いのが原因なのか…それとも、単に私の知らない別の理由からなのか…

此所へ来てから余り見掛けぬ大きな蛾が、灯を目掛けて飛び交う姿だったのです



彼…は、自分の力を誇示しようとするかの様に、そのまま何度も電灯を目掛けて体当たりをしていましたが、ふとしたはずみに決して行ってはならない場所に、彼女…の住みかに飛び込んでしまったのです

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