誰かに聞いた怖い話
・・・疑惑から疑心へ11
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『やっぱり…どう考えても変だよ…』



四方を板で囲まれたその狭い場所で、私は同じ言葉を繰り返していました

余り機転が利くとは言い難い私の頭では、どうしてもその答えに辿り着いてしまうのです



あの時…鳴り続ける折り畳みタイプの携帯を、サーファーの彼がポケットの中から取り出して、私達の目の前で開いて見せた、あの時…

そして、後から来る筈の弟と二人で会話を交わしていた…その時…

…何故、液晶画面が明るく見えなかったのだろうか?



…何故、着信を伝えるイルミネーションが、その役目を果たさなかったのか?



私は先程の出来事を思い返して、その不審な点に気付いたのです

勿論、携帯の操作方法の如何によっては、イルミネーションは勿論の事…着信音や操作音すら消す事が出来る事を、携帯電話を持っていない私ですら知っています

けれども…携帯画面そのものが発光もせず、辺りの暗闇と同じ様に暗いままなんて…



『やっぱり…変』

私にはその理由も目的すらも、分からなかったのです

サーファーの彼が、私には分からない何かを隠している…そして、他の友人達はその理由を知っている

知らないのは…多分、私一人だけ…

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あきゅろす。
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