誰かに聞いた怖い話
恐怖への序章4

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突然…彼の弟の事を想い出していた私の頭の中に、彼の声が水のように流れ込んで来て…私は彼の弟の事を考えるのを中断しなければならなかった……



『そこはさぁ、サービスエリアじゃ無いから、自販機のコーナーとトイレしか無くってさぁ…普段はトラックの運転手位しか停まらないんだよ』

『普通はさぁ、手前にあるサービスエリアに寄るんだろうけどな、あの時は分岐の所で割り込めなくてさ…仕方なしにそのパーキングエリアに入ったんだ…』





不意に彼の言葉が途切れ…辺りには、薪のはぜる音と遠くからかすかに聴こえて来る動物の鳴き声…

時折湖の方から聴こえて来る、水鳥の驚いたようなひと声が聴こえるのみである

静寂と云うのはこの様な刻を云うのだろうか…





『それで?』

その沈黙に耐えきれなくなったのであろうか…

友人の一人が彼に問い掛けたのだった…



彼はコップに残るビールを一気に飲み干すと、その夜のパーキングエリアで彼と彼の弟に起きた出来事を…意を決したように話し始めるのだった…

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