誰かに聞いた怖い話
・・・百人浜2
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『何だよぉ、例の北海道のホテルで知り合った人から聞いた話だから、誰も話さないと思ったんだけどな』



『それだけ有名な話って事だろ、あの事故自体はな』

サーファーの彼は旅行好きの彼にそう言うと、ぽつりぽつりと語り始めた





その浜は割りと綺麗な砂が堆積した、一見すると海水浴に適していそうな砂浜でした

けれども、その土地に長年住み着いて来た地元の人々は、蒸し暑い夏の夜とは言えども、日没後にはその浜に出る事は避けていた…



サーファーの彼の話を断片的に聞きながら、私は頭の何処か片隅に残る微かな記憶を呼び起こしていたのです



その数キロにも及ぶ砂浜には、その昔…この北の大地を虎視眈々と狙っていた北西の大国の侵略を防ぐ為、愛する家族を守る為…幕府の命で当時蝦夷と呼ばれた北の大地に送られた、陸奥諸藩の沢山の藩士を襲った…悲しい海難事故の話が伝わっているのです



そして、その悲しい昔話に関係が有るのか、それとも無関係なのか…誰にも分からない不思議な噂話も…その砂浜には伝わっているのです





『……と言う情報を受けた幕府は、蝦夷地を守る為の陣屋に詰める防人の人数を、急遽増やす事にしたんだ』

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あきゅろす。
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