誰かに聞いた怖い話
61話…百人浜
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『ごめん…その後の話は知らないんだ』
私は旅行好きの彼の発した質問に、答える事が出来ませんでした
此の何処でも有り得る話は、余り身体の丈夫では無かった母が、病院に一週間程入院した時に預けられた親類の家で、その家に通い来るお手伝いさんから聞いた話だったからです
でも…その話が私の将来にも深く関わって来る重大な話だとは、勿論その時の私が知る由もありません
『まぁ…知らないなら仕方が無いかぁ…一寸残念だな』
サーファーの彼は本当に残念そうで、その顔は私の脳裏に長い間止まりました
『次は俺の番だよな』
サーファーの彼は少し考え込む表情をしましたが、特には何も言わずに次の話を始めたのです
『それじゃあ…あの話にするか…北の大地にある、あの演歌で有名な岬…近頃、歌わせないとか…何か揉めていた曲に出て来る…あの岬、あの南に出っ張った岬から、時計回りと反対に少し北上した所に、百人浜と呼ばれる砂浜があるんだよ』
『あーっ!そこ、次に僕が話す積もりだったのに!』
急に大きな声を張り上げたのは、旅行好きの彼でした
『うーん、そうなのか?』
『でも……此の話は諦めてくれ、早い者勝ちだ』
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