誰かに聞いた怖い話
・・・羊頭狗肉7
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暗闇に飲み込まれつつある物陰に隠れる少女には、余り時間が残されてはいませんでした

遥か西の山並みへと傾く夕陽は、時間の経過と共に燃え上がる様な色合いを徐々に失いつつあり、茜色に彩られた空から斜めに差し込む弱い光によって、長い影を地面に落としながら未だ明るさを保つ開けた空き地でさえ、闇の世界へと誘っていたからでした

そして少女は辺りを気にしながら、空き地へと足を踏み入れたのです





程よくパン粉の焦げる香ばしい香りが漂う中、少女は肉屋の奥の部屋に正座させられ、頭を畳に擦り付ける様にして泣きじゃくっていました



そしてその少女の隣りには、少女の母親でしょうか?

少女の着物と同じく着古した着物を身に纏った一人の女性が、少女の頭を畳に押さえ付けながら、自らも平謝りに店主へと頭を下げていたのです



『全く、今度あそこへ入ってるのを見付けたら、警察へ突き出してやるからな!』



『申し訳ありません…此の娘にはよーく言い聞かせますので…ほら、お前も謝りなさい!』

でっぷりと太った肉屋の店主の罵声を畳に頭を擦り付ける様にして聞きながら、その女性は隣りに座る少女の頭を押さえる手に力を込めたのでした

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