誰かに聞いた怖い話
・・・羊頭狗肉6
.
ビリッ…



大事な着物の破れる耳障りな音を、もう何度聞いた事だろうか?



ビリッ…

『…』



その布の破れるほんの小さな物音は、立ち入りを禁じられた私有地へと踏み入ろうとする、後ろめたい気持ちを抱く少女にとって、殊更に大きく感じられていたに違いなく、少女は無意識の内に辺りを窺っていました



ビリッ



そして殊更大きな音と共に、少女のか細い身体は日差しの差し込まない狭く薄暗い空間から、漸く加工場の裏手にと抜け出していたのです





少女は窓の全く無い加工場の北側の壁際を伝いながら、辺りに漂う腐臭に顔をしかめていました



『!』

そして加工場の陰から様子を窺おうと頭を出し掛けた少女は、何かの気配を感じて慌てて頭を引っ込めたのです

気配を気取られない様にゆっくりと覗き込む少女の目には、今一番顔を合わせたくない人物が、加工場脇に掘られたニm四方の穴らしき場所に向かって、バケツの中から何か小さな塊らしき物を掴み出しては投げ捨てている…そんな場面が映っていたのでした

やがてその男は残り少なくなったバケツの中身を纏めて穴の中に投げ捨てると、加工場の方に向かって戻って行ったのです

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