誰かに聞いた怖い話
・・・山越えの道8
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『通れないって…それじゃあ、これからどうするんですか?やっぱり、あのまま走り続けていた方が良か…』

『その為の四駆よ、ウインチ付きのね』

彼女は心配する僕の言葉を途中で遮り、助手席から車外に降り立つと、問題の障害物に向かって歩き出したのです



『何とかなりそうね、これ位の太さの倒木なら』



『そうだね…これなら細い方にロープを掛けて、ウインチで巻き取りながら、太い根元の方を中心にして回してあげれば、多分何とかなるよ』



『…』

先輩達の会話を聞きながら、僕は彼らの周りをうろうろするだけだったのです



『それじゃあ、君!ロープは僕達が掛けるから、僕が合図を出したらウインチでゆっくりと巻き取ってくれ』



『えっ?僕はウインチを動かした事が無いんです!』

僕は慌てて言ったのです



『大丈夫、大丈夫、このタイプの奴は簡単だからね』

僕の心配を余所に、先輩がそう続けました



『でも…』



『そうそう、それに今の内に覚えて置いた方が…』

それでも心配そうな僕に、彼女の彼氏が声を掛けて来たのでした

そして僕はその時気付いたのです

彼と話したのは、その時が初めてだった事に…

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