誰かに聞いた怖い話
59話…山越えの道
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その日の夜更け、僕は例の彼女と一緒に愛車に乗り込むと、片側二車線の幹線道路をひたすら西へと向かって走らせていました

僕は…いや、後から四駆で駆け付けた二人を含む僕達四人は、二台の車に分乗して山の中の湖沿いの小さなキャンプ場に向けて、夜道を急いでいたのでした

その時の僕の心の中では、携帯で連絡がつかなくなった兄と兄の友人達…取り分け、あの人の安否が気掛かりで仕方が無かったのです

そんな僕の不安に暮れる思考を遮り、助手席に座る彼女が突然声を掛けて来たのです



『ねえ、お腹空かない?』



『えっ?』

意外な言葉に聞き返した僕に、彼女は言葉を繋げました



『この先の交差点の所にあるコンビニに入って頂戴、何か食べる物を買いましょ』



『こんな時に何を…』

そう言い掛けた僕を制して、彼女は優しくたしなめたのです



『あなたはお兄さん達の事が心配で、食事が喉を通らなかったかも知れないけど…後ろの車に乗ってる二人も、車の手配や準備の為に食事をしてる時間が無かったのよ…それに買って置かなきゃならない物も有るの…』

一刻も早く兄達の元に行きたいと焦る僕は、そんな事にも気が付かなかったのでした

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