誰かに聞いた怖い話
・・・ミーコ6
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『轢いたって…まさか!』
ミーコの取り乱した姿を見て最悪の事態を想像した俺だが、ミーコから返って来た返事で、俺は安堵の溜め息をつく事が出来たんだ
ミーコは、急に道路に飛び出して来た一匹の猫を避けきれずに、車で轢いてしまったそうなのだ
正直言って、俺はこの時ホッとしていた
何故ならば、ミーコの轢いたのが人間では無くて、猫だったから…
けれども…ミーコにとっては、自分の轢いたのが猫だった事に、特別な深い意味があったんだ
『ご免ね…ご免…』
俺は…そう泣きながら云い続けるミーコの真意をはかりかねて、彼女に掛ける言葉が見付からなかった
『待ってて…』
それで俺は彼女にそう声を掛け、車のドアを開いて外へと降り立っていた
こんな時、俺に出来る事と云えば、一つしか思い浮かばなかったんだ
『あれっ?』
独り車から降りた俺は、一通り車の下や辺りを見回して見たけれど、猫の死骸は何処にも見当たらなかった
『ミーコ、轢いてなかったみたいだよ…何処にもいないよ』
『ううん…間違いなく轢いちゃったの…ガタンって衝撃がハンドルに……動物ってね…即死じゃ無い限り、人目に死体を晒さないのよ』
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