誰かに聞いた怖い話
・・・ミーコ3
.
その時俺は、周りから寄せられる好奇の視線を感じて、彼の肩を掴んでいた両手を慌てて離して、彼を椅子に座らせたんだ

そして…出来るだけ冷静に声を落として、事の真偽を彼に尋ねていた



『本当…なのか?』

俺は、彼奴の泪でうるんだ瞳を見つめながら、ゆっくりと問掛けたんだ



『あぁ…さっきミーコの母親から電話で…聞いた』



『じゃあ!まだ会っては無いんだな、ミーコと』



『あぁ…どうしても信じられなくて…怖いんだよ!ミーコに会って…確かめるのが!』



『何言ってるんだよ!これから行くぞ!マスター、御勘定!』

俺達のやり取りを、マスターは聞くとは無しに聞いていたのだろうか、勘定は良いから早く行けと言う風に手を振っていた

俺は自分の愛車に友人を乗せシートベルトを締めさせると、駐車場から車を出してミーコの家へと向かって、アクセルを力任せに踏み込んだんだ





火葬場の煙突から流れ出す煙を二人で見上げながら、彼奴はミーコが亡くなる前の一週間余りの出来事を、俺に話してくれたんだ

その話は余りに出来過ぎていた…けれども、信じるしか無かったんだ…その話の通りにミーコは煙りになってしまったんだから

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あきゅろす。
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