誰かに聞いた怖い話
・・・三毛猫13
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『珍しいのか?』
走り屋の彼が、そう尋ねた
『僕も良くは知らないんだけど、三毛猫は遺伝子的に牝になる確率が、圧倒的に高いらしいんだ…だから昔は高く売れたらしいよ、船乗り達に…』
『ふぅーん…そうなんだ』
『それでね、良い話もあるんだよ』
『良い話?一匹殺されたのにか』
そう呟いたのは、サーファーの彼だった
『それは…可哀想だと思うけど…実はね、もう一匹の三毛猫も、患者さん達の前から姿を消したんだって』
『何処が、良い話何だよ!』
そう声を荒げたのは、走り屋の彼だった
彼達も、猫が嫌いだった筈なのに…勿論私も腹を立てていた…猫達の為に…
『慌てるなよ、ちゃんと戻って来たそうだよ、三匹の仔猫を連れて…』
『それって』
尋ね掛けた私の問掛けには答えずに、病院長の息子は話し続けた
『三匹共、親に似た美猫達だったそうだよ』
『だから、それって…』
『皆、親にそっくりな三毛猫だよ』
『それじゃあ…』
『うん、多分ね…ただ…看護師さんがね、その猫達が犯人のお墓の前に並んで座って、墓石をジーッと見つめて居たのを見掛けたんだってさ』
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