誰かに聞いた怖い話
・・・三毛猫5
.
それらは彼の家の、施錠された二階の一室から見付かった
その部屋の物と覚しき鍵は、彼が肌身離さず持ち歩いていたらしく、ズボンのポケットから既に見付かっていたのだ
そして、部屋の中に踏み込んだ捜査員の目の前には、猟の成果を誇る様に動物の毛皮が壁一面に飾られ、壁際に置かれたテーブルの上からは、幾つもの剥製の硝子の瞳が彼等を見つめていたのだった
勿論、一般に猟をする者が飾る様な熊の毛皮や鳥の剥製等ならば、何ら驚く様な事は無い
けれども、それは違っていた
それは、もっと私達の身近に居るモノだったのだ
その場に居合わせた捜査員の一人だと云う男が、後日マスコミに匿名でこう語っていた
『中は酷い有り様だったよ、ここ数年この近所で突然姿が見えなくなった飼い犬や猫達が、皮を剥がされたり剥製にされて飾られていたんだから…彼奴は鬼だよ』
『それに彼奴は、それらのハンティング記録をつけていたんだよ、いつ、何処で、どんな手段でって…本当に彼奴のやった事は許されざる事だよ…でもな…』
『でも、どうしたんですか』
そうマイクを向けるマスコミ関係者に、その捜査員は事件の発端になったであろう話を語り始めたのだった
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!