誰かに聞いた怖い話
53話…三毛猫
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『何か、あの眼がさぁ…暗闇で急にキラッと光ったりしてさぁ、ドキッとさせられた事を思い出すぜ』



『うん、そう言う所とか…いつの間にか背後に忍び寄って居て…急に足に擦り寄って来て…こうすりすりってさぁ』



『うん!あるある、僕の場合には、以前に婆ちゃんの家で昼寝してたら、いつの間にか顔の近くに座っていて、ジーッと僕の顔を覗き込んでるんだ』



『おいおい…それって猫じゃなくって、他の話じゃないのか』



『猫の話だよ!』



『…』

彼達の言葉じゃないけれど、私も猫は苦手だった

あの暗闇でも爛々と光を放つ鋭い瞳に、人知れず心の奥底に仕舞い込んだ秘密や、心の内に潜むドロドロとした負の感情を、全部見抜かれている様な…そんな、お前の全てを見抜いているぞ、お前の何もかもを知っているんだ…そう言いたげな…あの瞳が…私は苦手だった





『それでな、その病院には一般の…まぁ軽い症状の入院患者用の病棟と、症状の重い患者や…既に手の施し様の無い末期の……そんな患者専用の病棟があったんだ』

『勿論、患者さん達はそんな事は知らない筈だけどね……いや、でも薄々は知っていたのかも…病室の名札が変わるから…』

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あきゅろす。
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