誰かに聞いた怖い話
・・・古都19
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『おい、本当にここなのか?ここで間違い無いのか?』



『うん、あの看板も、あっちの大きな欅の木だって…間違い…無いよ…ここだよ、でも…』

余りの事にうろたえ立ち尽くした僕に、彼は半信半疑といった面持ちで尋ねて来たのだ



『…そうか、ちょっと待ってろよ』

彼はそう言うが早いか、大きな門をくぐり抜け中へと入って行った

僕は彼を言葉も無く見送り、その場に立ち尽くすしかなかったんだ

(どうなってるんだ…確かに、ここにあった筈なのに…)



『どうして…』

(あの駄菓子屋の角を右に曲がって…一つ目の角を左に…そして暫く歩いたら、あの欅の木が見えて…古いドリンク剤のあの看板の所を、右に曲がった細い路地の奥に……でも、路地なんか…)



『やっぱり…道順は合っている筈だ…どうしてなんだ?』

僕は、あの日の事を思い出しながら、自分の記憶を整理しようとしていたのだった



『おい、中に入っても良いってさ、話しを聞かせて貰おうぜ…何かわかるかも知れないからな』



『そうだな…』

(でも…どうして、あの写真の通りなんだろう…どうして…)

解けぬ疑問を抱えながら、僕は大きな門をくぐったのだった

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