誰かに聞いた怖い話
・・・古都15
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『おい!大丈夫か?』
『どうしたの?大丈夫?』
『大丈夫か?』
『…やめろーっ!』
虚ろな視線を周りに漂わせていた僕は、心配そうに上から覗き込む友人とその家族の姿を瞳の中に認めて、思わず大声をあげながら布団から跳ね起きていた
『きゃっ!』
『な、何だよ?』
『どうしたのかね、急に大声を出して?』
『やめろ!やめてくれー!』
『どうしたんだよ?しっかりしろよ』
自分達を避ける様に部屋の隅に迄這いずり、両手で頭をかばう格好をして取り乱す僕に、彼とその家族は困惑していたのだった
『いったい何が…』
『本当にどうしたの?』
『……』
本当に心配そうな表情を浮かべる彼等の態度に、僕は徐々に落ち着きを取り戻していったんだ
『…あ、あれ…ここは?』
『本当にどうしたんだよ、急に大声を出して…ビックリしたじゃないか』
『…僕は、いったい…』
『全然覚えて無いのかい?』
『君は朝方、切り通しの所で写真を撮っている時に、急に倒れたんだよ…そして熱を出して、今迄ずっと…』
『そう…だったんだ…迷惑かけて…ごめん』
『……夢を…』
『夢?』
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