誰かに聞いた怖い話
・・・古都13
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『長年に渡る、俺達一族の悲願だからな』

彼はそう言いながら、にやっと笑ったのです

そして彼の家族達も…



『?』

僕には、彼の言ってる意味が全然わからなかった

すっきりしない頭で彼を見上げる僕に、彼は独り言の様に話し続けていたんだ



『君の母方の実家は、この近隣の町の筈だよな』



『いったい、どうしたんだよ…急に』



『俺達は…俺達一族は積年の怨みを晴らす為に、この日が来る事をどれ程待ちこがれた事か…』



『どう言う意味だよ、何を言ってるんだよ』

まるで別人の様に変貌し、理解し難い言葉を吐く彼のその口調に、僕は例え様の無い身の危険を感じて、布団から身体を起こそうとしたんだ

けれども、僕の身体は布団に根を張った様に、少しも動かなかった



『無駄だよ』



『本当にどうしたんだよ…』

『…あっ!』

その時、必死にもがく僕の瞳に映ったモノは…





『それからどうしたんだ?』

『もしかして…君の母方の先祖って…』

『ほら、酒なんか呑んで無いで続きを話せ』

そう急き立てる友人達を尻目に、旅行好きの彼はカップに残る焼酎割りを、ゆっくりと喉に流し込んだのでした

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あきゅろす。
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