誰かに聞いた怖い話
・・・古都6
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その時だった…その塚にまつわる酷い言い伝えを、僕が彼から聞いたのは…





僕はその日愛用のカメラを片手に、古都の朝靄にひっそりと佇む古刹、名刹の姿を求め歩き続けていた

僕の傍らには、この古都に住まいする友人が、道案内役として同行していたんだ

その内僕達は、朝の静寂の中で威厳すら感じさせる神社仏閣を巡る内に、いつの間にか幾体かのお地蔵様を奉った、小さなお堂の前に立っていたんだ



『ここじゃないの?』

僕は昨日の話をふと思い出して、彼に尋ねてみたんだよ



『うん、ここが例のお地蔵さんだよ』

『ここからもう少し先に行くと、切り通しの一つに行き着くんだ、例の話に出て来る場所だよ』



『それじゃあ、やっぱり…この先に…例の場所も?』

僕は彼の顔を見つめながら、独り言の様に呟いていた



『そう…あの日、謀反の疑いで焼き討ちをかけられた一族の生き残りが、騙し討ちにあってあえない最期を遂げた場所が…』





屋敷が焼き討ちに遭ったその日、まだ元服前のその子は僅かな家臣と共に、万一の為の抜け穴を使って難を逃れていた

もっとも、関を固められていて、古都から外へは逃れられなかったのだが…

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