誰かに聞いた怖い話
・・・古都4
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『皆は、七口って知ってるかい?』
『なな…くち…?』
『何処で聞いた様な、そんな気はするけど…』
『頭に口が、七つある…とか?』
『頭に口があるのは、それは…ふた口だろ』
『あははは…そりゃ良いや、頭に七つの口かい』
『でも…違うんだ、七口と云うのは…』
『その古い都は周りを険しい山々で囲まれていて、その地に入る為には険しい山々を削り取って造った様な、たったの七つしか無い狭い道を通るしか方法が無かったんだよ』
『逆に言えば…その地から逃げ出す場合にも、必ずその何れかを使わなければ逃げられないんだ』
『そして、その道に造られた柵…関所と言った方が良いのかな…そこを兵で固められたら…誰も逃げられない…』
『そうか…七つの道で七口か…口は口でも、口違いか』
そう呟いたのは、走り屋の彼だった
『そう言う事だね…そして、僕が変な写真を撮ったのは、そんな場所の一つだったんだよ』
『そう…あの日は、じとじとと雨の降り続いた梅雨の合間に、久し振りに訪れた太陽の光が、とても眩しい晴れの日だった…朝早い内から太陽がじりじりと照り付け、梅雨の最中だと忘れてしまう程だった…』
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