誰かに聞いた怖い話
47話…秘伝
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彼女は約束通りに、駅近くの歩道で待っていました

多分、軟派目的の車だろうか…何か彼女に野次を飛ばしながら、黒っぽいスポーツタイプの車が猛スピードで走り去った後に、彼女はぽつんと一人で立っていたのです



『全く、あの手の連中ときたら…あっ、来たわね』

彼女の側に続いて停まった僕の車に、一瞬眉をひそめた様子の彼女でしたが、助手席側のウインドーを下げて顔を出した僕に、彼女は笑顔を見せたのです



『あの…これから、どうするんですか?』



『もうちょっと待ってて、もう着く頃だから…』

彼女はそう言いながら、白い細腕にはめた腕時計に、視線を落としました



『あれから、携帯に電話したんだけど…誰も出ないんです…兄ちゃん達、大丈夫でしょうか?』

僕は、ハザードランプを点灯させると、彼女の側に行き、一番心配な事を尋ね掛けましたが、それは彼女にも、わからない事だったのです



『もう来ても良さそうなのに…そうね、先に言って置くわね』

そう言いながら彼女は、僕の瞳を覗き込んだのでした



『いい、絶対に無理な運転はしないで、例えどんなに気が急いていても…慌てず無理せず、出来るだけ急いで…いいわね』

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