誰かに聞いた怖い話
・・・その後に2
.
『ごめん…滑っちゃった…』

病院に行く為に救急車に運ばれる部長が、無理に笑みを浮かべながら私達に向かって言ったのでした

彼女は私達に心配掛けまいと、気丈に振る舞ってはいましたけれど、身体に走る激痛で顔面は蒼白になっていました

けれども…私は知っているのです…彼女の顔を青ざめさせていた理由が、怪我の痛みだけでは無い事を……私と…彼女の二人だけが…





ギィー…ギギィー…

ふと目が覚めてしまっていた私の耳に、聞き覚えのある音が聞こえて来たのです

あの時は…あのひとりでに開いたクローゼットの扉から、一瞬だけあの顔が…

あの時…私は直ぐに目を詰むってしまったので、少ししか…ほんの一瞬しかその顔を見てはいませんでした…

あの直後に、私の意識が私の肩を掴んだ先輩の手に移った時…クローゼットから一瞬意識が逸れた隙に、いつの間にかクローゼットの扉は元の様に閉まっていたのです

あの時…先輩達はその事に気付きませんでした

だから…あの時先輩達には、詳しい事迄は喋りませんでした…自分の見た事に自信が持てなかったからです

現実の世界で起こった事なのか、それとも私の考え出した幻だったのか…



ギィー…

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あきゅろす。
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