誰かに聞いた怖い話
・・・異変の始まり6
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『あれ…あの娘は…』
その娘が夕食の席を外すのに、私が気が付いたのはほんの偶然でした
その娘は今年入部したばかりの娘でしたが、少し具合の悪そうな顔色をしていました
部のマネージャー的存在…悪く言えば使い走りとも云えなくはないですが、3年生でもある私はその新入生の事が心配になりました…
けれども、堪らない程の空腹には勝てずに…食後にでも部屋を覗いてみようと思ったのです…
『ねぇ、大丈夫?顔色が悪いけど…』
明日の試合には、2年生である自分の出番は無いかも知れない…そう考えながら食事をしていた私は、右斜め前の席に座っている娘の顔色が気になり話し掛けました
『あ…はい、ちょっと気分が…先に部屋に戻ってても…良いですか?』
その娘はとても具合の悪そうな、元気のない声で答えました
『えぇ…それは良いけど…ねぇ、あなた一緒に付いて行ってあげて』
私が彼女の隣に座っていた彼女の友達らしい娘に頼むと、その娘は遠慮してか…ひとりで大丈夫ですと答え離れに戻って行ったのです
けれども私はその娘が心配でした…
その娘はさっき私が離れで一瞬見た、黒い影にまとわり付かれていた娘だったからでした
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