誰かに聞いた怖い話
・・・異変の始まり4
.
『お客様…お食事の用意が出来ましたから、大広間の方にお越しください』



『!』

その新入生に何か良からぬ事が起きそうな悪い予感がして、その娘に意識を集中させていたからでしょうか?

いつの間にやって来たのか、部屋の入口近くに座っていた私でさえ気付かぬ内に、この宿の仲居さんと覚しき女の人が廊下に膝を揃えて座り、襖を開け放たれていた部屋の中を覗き込む様にして、夕食の準備が整った事を告げたのでした…



何この人…いつの間に来たの?

まるで猫みたいに足音もさせないで…

私はそう思いながら…仲居さんの言葉がまるで聞こえ無かったかの様に、誰も立ち上がら無いこの部屋の皆に声を掛けたのです

『みんな〜夕食の準備が出来たって』

そう言いながらふと部屋の入口を見ると、そこには仲居さんの姿は既に無く、隣の部屋の方から夕食の準備が出来た事を告げる仲居さんの声が聞こえたのでした



『ついさっき迄そこに居たのに…本当に猫みたい…』

私の口からは知らず知らずの内に、そう独り言が呟かれていた様でした



『何?猫がどうしたのよ?』



『えっ?』

『あぁ、ここの仲居さんが…まるで猫みたいに静かだって事…』

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