誰かに聞いた怖い話
・・・海岸の兄弟5
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翌日、彼女は昨晩の事を覚えていなかった…

彼女はまだ暗い内から目覚めて俺を起こし、朝日を見に行こうとせがんだ…

俺も昨晩の事が、現実の事か夢うつつの出来事なのかはっきりしないし、彼女が元気そうなので出掛ける事にした

旅館のフロント…帳場と言った方が良いのだろうか?

朝早くだと言うのにもう従業員がおり、彼に一声掛けてから出掛ける事にする

俺と彼女は旅館の前の砂浜に座って、黙って陽の昇るのを眺めていた…

ふとあの旅館の従業員が数メートル後ろで佇んでいるのに気が付いた俺は、あの男の子の事について聞いてみる事にしたのだ



『なぁ、君って此処の生まれ?』



『…はい…そうです…』

何か歯切れの良くない、彼の言葉が気になって彼の顔を覗き込む

そこには青白い顔色の良くない…しかしそこには、何処かで見かけたような顔があった

何処でだろう?…思い出せない…

でも小さな疑問には蓋をして、男の子の事について聞いてみた



すると意外な答えが返って来たのだ…



『……その子は、私の弟です…』

『あの子は海の好きな子でした……本当に海の大好きな子で、よく1人で遊んでいたんです…』

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あきゅろす。
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