誰かに聞いた怖い話
・・・身近な恐怖(伍)6
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既に山々を照らし出していた夕陽も沈み、段々と夕闇が濃くなっていく中…僕は迎えを待っていた…

そこは丁度、未舗装の林道と山道が合流する場所で、車を1台停められるくらいのスペースがあった

僕はそのスペースに自転車を運び込んでから、ガードレールに腰を掛け煙草に火をつける





『こんな所に夜一人で居ると、まるで不審者だな…』

そんな独り言を言いながら、僕は迎えを待っていた

しかし、1台も車が通らないのは珍しかった……その時僕の頭をふとよぎったのは、隣町へ行く途中で出会った同級生の言葉だった

『そう言えばここって…例の場所…?』

そう思った瞬間に押さえ切れない身震いがしたのは、偶然だったのだろうか?

それとも、寒さの為に…

いや…もしかしたら何かしらの気配を、本能的に感じていたのかも知れなかった…





しーんと静まりかえる山の中で、僕に聞こえて来た微かな音は、やがて段々大きくなり、ここから真っ直ぐ見える峠の空に浮かぶ雲を、車のライトが照らし出した時にはホッとする思いだった

車は僕の前を少し通り過ぎると、一度停車した後、バックで林道に入って来て停まった



『あれ?一緒に居た娘は?』

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あきゅろす。
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