誰かに聞いた怖い話
・・・身近な恐怖(伍)3
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その彼とは特に親しい間柄では無かったが、久々に見るので彼も懐かしかったらしく、原チャリを停めて話し掛けて来たようだった



『バイクは修理中だよ、それより君は学校出てからどうしてるんだ?』



『うーん…まぁ、ぼちぼちやってるよ』

『来年の遠征に備えて、隣町の建築会社でバイトしてるんだ』

彼の云う遠征とは……

まぁ…機会があれば話す事もあるかも知れないけれど…



『それより…ここの噂を聞いた事があるか?』



『あぁ…例の白っぽい服を着た?』

その話は僕も聞いていた



『実はそれらしいのを俺も見たんだ…その頃はまだ噂にもなって無かったから、夜中に何であんな所を歩いているんだろう…位にしか思わなかったけど…』

『その後直ぐに幽霊話が広まったからな…』

『バイトが道路工事などで夜のシフトの時は、ここを通るのが少し気味悪いよ』



『そうだね、でも…事件があった話は特に聞かないんだよね…何でだろ?』



『そんな噂はどうせその内に消えるさ、じゃあまたな、バイトの時間なんだ』

彼が騒音と黒い煙を吐きながら走り去った後、僕は自転車を押しながら歩き始めた…

峠の頂き迄はあと少しだった

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