誰かに聞いた怖い話
・・・身近な恐怖(伍)2
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丁度、峠の……峠と云ってもそれ程たいした山ではなく、丘に気をまわした程度なんだけど、その峠の少し先に車一台がやっと通れるくらいの未舗装の林道があったんだ…

そこはその年の夏頃から、とかく変な噂が立ち始めた場所だった

僕はその坂を休まずに登り続けた……





坂道を息を切らせて登って行く僕の横を、何台目かの車が涼しげに追い越して行く…

勿論その車達の全てが、涼しげに僕の事を追い越して行ったのではなく…黒い煙を吐きながら悲鳴をあげるエンジンで、やっと登って行く古い車もいた…

そしてマフラーの消音装置を外しているのだろうか?

エンジンの音だけが遠くから聞こえていたが、なかなかその姿を現さなかった原チャリが僕の横をやっと通り過ぎる頃、僕の痩せ我慢も限界に達していた…

その日は何故か、僕のバイクの調子が悪く途中にあるバイク屋で修理を頼み、厚かましくもオーナーの自転車を借りて来ていた…

とうとう僕は自転車をこぐのを止めて、自転車から降りた



『おう!珍しいな、バイクはどうしたんだ?』

僕の横を通り過ぎた男が、数メートル先で原チャリを停めて僕の事を待っていた…

彼とはこの間迄クラスメイトだった

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あきゅろす。
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