誰かに聞いた怖い話
22話…身近な恐怖(弐)
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『天井から血だらけの顔…剥ぎとられた肉面が見つめている…か…』



『…何か夢に出てきそうだな…』



『これからは、ついつい上を見ちゃいそうだね…』



『まあ…気を付けてくれよ』



『お前もな………次は俺の番だな?』

『実はな…偶然なんだが、俺も天井が怖いんだ』

『もっともお前と違って、血だらけの肉面じゃあ無いし…寝室でも無いんだ』

『実は…俺が子供の頃の話なんだが、遠い親戚に不幸があってな…俺も一緒にその山奥の小さな村に行った事があったんだ』

『昔の農家は屋根を茅葺きや藁葺きにしていたんで、よく2mもある青大将が鼠を追い掛けている途中に、足を踏み外して…いや、足は無いか、梁から落ちて来たりするって…大人達に脅されてな』

『まぁ…子供の頃は、それも怖かったんだが、一番怖い思いをしたのは…その家の風呂に入った時なんだ』

『さすがに五衛門風呂と云うのかな、それでは無かったんだけど…風呂桶は木で出来ていて薪で沸かすんだ』



『…と言う事は、風呂場の天井?』



『そうなんだ…大人達がお葬式の事を話し合っているんで、俺は一人で先に風呂に入れられたんだ』

『湯船につかっている時…』

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あきゅろす。
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