誰かに聞いた怖い話
・・・中古車7
.
警察署を出てからの帰りの車の中は、まるでこれから判決を待つ囚人のように、2人共押し黙ったままでした…

途中のコンビニで、サンドイッチと紙パックのジュースを買いましたが…とてもじゃ無いけど食べられませんでした…

お腹はとても空いている筈なのに、物を食べようとするとあの強い腐臭が思い出されて…とても食べられません…

もしかしたら…あの崩れ落ちた瞬間に…その…モノの一部が飛び跳ねて、私の服や…髪の毛に……そう考えただけで、食欲が無くなりました…

それでも…私が運転する赤い車は、いつしか私達の住む街に辿り着いていました…

その帰り道の車中で、彼に云われるでもなく…私は何度もヒーターの温度を上げたのを覚えています…





『今日は、ごめんな…俺が運転出来ないばっかりに…、じゃ、又、後で電話するよ…おやすみ』



『…うん、おやすみ…』

私は、私の家から車で8分程離れている彼の家に先に彼を降ろすと、私の家迄の帰り道を…ちょっと狭くて寂しい道で…歩きでは絶対に通らない道なのですが、車なら大丈夫だと思い通る事にしました…

その判断が……私を更なる恐怖体験へと導く事になるとは…私にはわかりませんでした…

[前頁へ][次頁へ]

16/97ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!