誰かに聞いた怖い話
・・・中古車5
.
『なぁ……何か寒くないか』
私の彼がそう尋ねて来る……これで、もう何度目だろう…
確かに今時分にしては、寒いのかも知れないけれど特に寒い訳じゃないわ…何か変…
私はそう思いつつ車の暖房のスイッチを入れました…
私はその日、山の大好きな彼に合わせて、軽井沢へ行ってみるつもりでしたが、その日彼が急に富士山が見たいと言い出したので、仕方なく途中から車を左折させていたのです…
その急な行き先変更の為に、予め立てていた計画は全て無駄になってしまいましたが、偶には計画無しのぶらり旅も良いものだと…その時は思っていたのです…
『凄いな…原生林みたいだね、林道の周りはそれ程じゃ無いけど…ここが樹海かぁ』
『ねぇ、もう戻りましょ、危ないわよ…もう直ぐ暗くなっちゃうわ』
私達は、樹海の中を林道から30m程入った所に居ました
『大丈夫だよ、真っ直ぐ戻れば良いんだから……でも、戻ろっか…帰りが遅くなるし…お腹も空いたし』
『そうしましょ』
…その時でした……私がそれを見つけたのは…
右手から急に吹き付けて来た風に乗って漂う、悪臭につられて右手を向いた私の目に映ったモノは…
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!