誰かに聞いた怖い話
・・・ミステリーツアー3
.
食事も滞りなく進み終わりに近づいた頃…ミステリーツアーの添乗員が再び姿を現した

先程、乾杯などと不謹慎なスピーチをしたおじさんである

私達はデザートに伸ばしていた手を休めて、彼の言葉を待った…





『皆様、お食事の方は、お楽しみ頂けましたでしょうか?』

『ここのシェフの料理は、日本の食通の先生方にも…伝統的なフランス料理の手法を取りながら、奇抜なアイデアを生かした創作料理だと絶賛されておりまして…?』

『いや、こりゃあ失礼…これはグルメツアーの口上でした…』

おじさんは、そう言いながら私達に向かってウィンクをした…

どうやら、多少軽めではあるが…根はそれ程悪い人では無いらしい

おじさんは私達が知らん顔をしていると、ワザと大袈裟に悲しそうな顔をして、その場に居たツアー客を笑わせた…



皆の笑いがおさまるのを待って、おじさんは話を再開しました

『えーっ…改めまして、これからこのホテルの特別室の抽選を行いたいと思います』



『特別室?』



『幽霊の出る確率の高い部屋の事よ』

特別室と聞いて不審がる私に、友達がそっと耳打ちしてくれた…

どうやらツアー詳細に載っていたらしかった

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あきゅろす。
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