誰かに聞いた怖い話
パーキングエリア4
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『兄ちゃん、腹減らないか?』

唐突に弟が切り出した

どうやらあの男が食べていたカップヌードルの匂いが、俺達2人の空腹の虫を叩き起こしたらしい

弟のその一言で、俺の中に芽生えた小さな疑問は消滅してしまった

『グウ〜』

俺が弟の問い掛けに答えるより前に、俺の胃袋が勝手に返事をしていた…



しかし、周りが真っ暗…漆黒の闇とでも言うのだろうか?

どうも俺には文学的才能が無いらしく、適当な言葉が浮かんじゃ来ない…

しかしその闇の中から見た此の場所は、スポットライトで照らされた舞台上のように、遠くから見てもくっきりと浮かび上がっているが、ひとたびその光の中に入ってしまうと…

その光の届く範囲は意外と狭いのに今更ながら気が付いた

そして…ふと此の光の及ばない闇の中に何かが蠢いているような気がしたのだった…



『兄ちゃん、出来たよ!』


弟の声で我に返らせられた俺は、苦笑いを噛み締めるのに苦労した

本当に今日は何て日なんだろう…

やっぱり、俺らしくない……此の闇のせいか?それともあの男の…



『兄ちゃん、ラーメン延びるよ』

俺は弟の声に、慌ててカップヌードルを啜ってむせてしまった…

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