誰かに聞いた怖い話
・・・真相5
.
…別れ?



…別れって…それじゃあ、やっぱり私は死んだのか?



…それとも…死んだのは…



自分の考えを上手く纏められずに、私は兄の背中と彼等の顔を交互に見つめ、その場に立ち尽くすばかりでした



『君達、本当に有り難う…私の……為に、本当に…難う…』

そして兄は、相変わらず私には背を向けたまま、淡々とした口調で話し続けていました



けれども兄は、私に話し掛けている訳では無いのです

兄は私の友人達に向かって、淡々と話し続けていたのでした



でも、その時の兄の会話に出て来る私を指し示す一つの単語に、私の心臓は早鐘の様に打ち鳴らされ、余りのショックに私は立って居るのが不思議な程でした



私にとって、その秘密を彼等に知られる事は、絶対に有ってはならない事だったからです



そうです…



少なくとも…私は皆に知られたくは無かった



私が今迄、皆を騙していた事を…こんな場面で知られるなんて…



でも、そう考えている私と、もう皆を欺かなくても良いのだと、心の中でホッとしている自分に気付いていました



私の兄はこう言ったのです



『私の妹の為に、本当に有り難う…』と

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あきゅろす。
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