誰かに聞いた怖い話
・・・真相4
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『停めて!』



『?』



『早く、車を停めて!』



車の薄っぺらな外坂を叩く、五月蠅い雨音にも負けない声音で、助手席に座る彼女が叫んだのは、僕達がキャンプ場を出発し、かれこれ十分も車を走らせた頃でした

この時僕は、不意に叫んだ彼女の意図が直ぐには分からず、ブレーキを踏むタイミングが遅れてしまい、その為僕の運転する車は彼女が叫んだクランク気味の左カーブを通り過ぎ、直線が続く道路上を暫く走り漸く停車したのです



でも、それは正解でした



予め彼女に、車間距離を開ける様にと注意をされていたお陰で、土砂降りの視界の悪い道路上に停車した僕の車に、彼女の知り合いの男性が運転する後続の四駆が追突する事は無かったのですから…



『あそこよ!』



『えっ!?』



『さっきのカーブよ!行くわよ!』

彼女は僕に慌ただしくそう告げるなり、助手席側のドアを勢いよく開け放ち、土砂降りの中へと飛び出したのです



…兄ちゃんが?



…あそこから落ちたのか?



…兄ちゃんが死んだ?



僕の頭の中にそんな不吉な考えが一瞬走り、僕は彼女の後を追って車を飛び出し、カーブへと走り出していたのでした

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