誰かに聞いた怖い話
・・・消えた理由6
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『良い奴だったのにな…おい!此所に来てるんだろう?』
車好きな彼は不意にその場に立ち上がると、声を張り上げ辺りに聞こえる様に叫んだのでした
何度も何度も、聞き慣れた名前を…
…嘘だろう?
…冗談だよね?
…そんな馬鹿な事がある筈無いじゃないか…
…嘘…だ…よな…
余りの事に言葉を失った私は、頭の中で同じ事を考え続けていたのです
どうして黙って信じる事が出来るのでしょうか
私は自分自身の身に起きた出来事の記憶を、その時少しも持ってはおらず、そのまま信じる事は出来ませんでした
その時になっても、尚…何かの間違いか悪戯だと…そう思っていたのでした
『なぁ…いい加減、私をからかうのは止めてくれよ…何でそんな事を言うんだよ…』
私の口から零れ落ちたその言葉には、普段の様な切れの良さも、力強さも感じられないだろうと言う事は、私自身理解し始めていたのです
丁度そんな時でした
私の頭が私の運命を理解し、受け入れ様としているそんな時…あの声が聞こえて来たのです
その声は何処か懐かしく、心からホッとする様な声音で…私はその声に聞き覚えがありました
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