誰かに聞いた怖い話
・・・消えた理由5
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『何故無視するんだよ!』
『何故、私には教えてくれないんだよ』
『どうして…だ…よ…』
私の叫び声がその場を駆け抜け、前と同じ様な静けさを取り戻しても…誰も何も…私には答えてくれませんでした
そして私は悟ったのです
いいえ…彼等の…友人達の会話から、既に薄々感じていた筈でした
それに私は気付いたのです!
私を照らす月明りに…
そうです
あの晩遅くになってからキャンプ場は黒雲に覆われ、山入端より響き渡る雷鳴が時折暗い夜空を明るく照らしだし、湖水を吹き荒れ波立たせた旋風が焚き火の炎を激しく揺らめかせ、真っ赤な炎の華を夜空に咲かせていた筈なのです
決してこんな明るい月の姿など…拝める天気では無かったのです
『彼奴が、あの日の事故で亡くなってから…もう二週間余りも経つのか…俺は未だに信じられないよ…彼奴が亡くなったなんて…夏になったら、もう一度一緒に海に遊びに行きたかったな…』
『それは俺も同じさ…もう一緒にドライブする事も出来ないんだな…』
『そうだね…大学の側の喫茶店で、ミルクティーを一緒に飲む事も…』
『もう、旅行に誘う事も出来ないんだね』
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