誰かに聞いた怖い話
・・・消えた理由2
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取りあえず私は、黙って皆の話を一通り聞いてみようと思い始めていた

私の発言に彼等が全然興味を示さないのが不思議だったのと、彼等の話が何やら思わせぶりで、どうやら私も知ってる誰かに何かが起きたらしいのだ

それだけは、彼等の会話の端々から窺い知る事が出来たのだ



問題なのは、誰がどうして、どうなったか…だったのですが…

私は黙って口を閉じ、皆の話に注意を向けたのでした



『本当に…俺達の運が良いと言うより…彼奴の運が悪過ぎたんだよ…なぁ、そう思わないか?』

サーファーの彼は、いつもの元気な張りの有る声音では無く、その明らかに憔悴仕切った顔は、私にとっても初めて見る表情だった気がするのです



『そうだね…運命の悪戯って奴は…時々残酷な事を平気でするもんなんだね』

サーファーの彼の言葉に相槌を打つ様に続いたのは、病院長の息子が呟いた言葉でした

彼はそう言いつつ、自分の眼に不意に浮かんだ涙を零さぬ為か、空に浮かぶ大きな丸い月を仰いだのでした



でも…私はその時気付きませんでした

私がその事に気付いたのは、もう少し後の事だったのです

そんな有り得ない事に気付かぬ程…私の心は乱れていたのでした

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